野瀬由佳(管理栄養士)
今年も実りの秋がやってきました。梨に柿にさつまいもに秋刀魚に・・・秋は美味しいものがいっぱいです。ついつい食べ過ぎと思いダイエットを始める方も多いのではないでしょうか?確かに急な体重増加は山を登るときの足腰の負担にもつながりダイエットが必要な時もあります。ただ、間違ったダイエットをすると体調を崩す原因にもなります。そこで今回は、ダイエットについてのお話です。
りんごだけ、バナナだけ、キャベツだけ,ゆで卵だけを・・・「何か1つの食品だけを食べ続けると痩せる」という情報がテレビや雑誌などで流れています。実際にそのダイエット方法で痩せた人の話を聞いていると、簡単に健康的に痩せれそうでついつい飛びついてしまいそうになります。でも、○○だけダイエットはとっても危険なダイエット方法です。
例えば朝バナナダイエットについて説明すると・・・朝バナナダイエットの方法は、
だそうです。この方法が正しい○か間違っている×かをつけると1、2、3は△です。
1は、「よく噛んで食べる」ということは正解です。問題は、バナナだけ食べるということです。朝にバナナを食べることが問題ではありません。バナナだけ食べることに問題が隠されています。
2は、「普通に食べる」というと何でも好きなだけ食べていいように感じてしまいます。「普通」=「適切量」です。自分の身体にあった適切量を知っていることが前提になります。
3は、おやつは「お菓子」ではなく間食(補助食)と考えましょう。小さな子供は、胃が小さいので3食(朝・昼・夜)だけでは、必要なエネルギーや栄養素は取りきれません。仕事が重労働の人も足りないエネルギーを摂取するために間食を取ります。
でも私たちの多くは、「次のご飯までに空腹感を押さえる」ために取ることが多いのではないかなと思います。そういう場合は、間食を我慢する必要はありません。我慢するとストレスの原因になったり、次の食事のドカ喰いにつながります。
ただお菓子のイメージを変えてみましょう!!
お菓子といえば、ケーキやスナック菓子のような甘いものや脂質の多いものをイメージします。これらは、お腹のすいた時に食べるものではなく、自分へのご褒美や楽しみとしてたまに食べるものと考えた方がよいかもしれません。お腹が空いた時は、おにぎりやサンドイッチ、果物、乳製品など食事として食卓に並んでもおかしくないものを選んでみましょう。
4は実は正解。ご飯を食べると消化器官が活発に動いたりすることで、体を動かさなくてもエネルギーが消費されます。ご飯を食べると体がぽかぽかするのもそのためです。食事の時間が遅くなると、同じ食事をとってもこのエネルギー消費量は少なくなることが分かっています。つまり「夜遅くの食事は太りやすい」ということです。また、夜遅くの食事は胃腸に負担をかけてしまいます。
実際にこの方法で痩せた人はいます。ただバナナダイエットに限らず、食事で痩せるというのは、
【摂取エネルギー(食べたエネルギー) < 消費エネルギー(使ったエネルギー)】
の関係がある時です。極端にいえば、何も食べなければ体重は減ります。でもこの痩せ方では問題大ありですよね!!
○○だけダイエットも同じです。痩せた人は、ただこの式が当てはまっただけです。しかし、朝食にバナナだけを食べ続けると、今までの朝食より摂取エネルギーは減ったとしても、バナナに少ない栄養素(たんぱく質、カルシウム、鉄分など)が不足します。昼食・夕食のエネルギー量を変えずに不足した栄養素だけを補うことは至難の業です。
その結果、貧血、骨粗鬆症、肌荒れ、基礎代謝の低下などにつながり、リバウンドもしやすくなります。
残念ながら・・・○○だけを食べれば健康に痩せるという魔法の食べ物はありません。健康にきれいに痩せるためには、いろいろな食品を組み合わせた食事が必要です。
次回は、健康に痩せる正しいダイエットについてのお話です!!
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